資本主義でも社会主義でもない、新しい思想を追求する大里総合管理株式会社の経営方針

 今の社会はどこかおかしいと、まともな経済学者や社会学者は真剣に考えている。分断と格差から脱して、誰もが尊厳を持って生きることができる新しい制度、新しいシステム、新しい思想を模索しているが、いまだ解は見つかっていない。
 しかも現実のビジネスの世界は厳しい。どんなに理想を語っても油断するとたちまち倒産、破産ということにもなりかねない。ここに「論語と算盤」という永遠の課題が浮かび上がる。理想の社会を求める精神と、現実の経済を両立させる方法はあるのか。こちらもまた正解は見つかっていない。
 千葉県大網白里市の大里綜合管理株式会社(以下、大里と略)は年商 4億5千万円、従業員 三十数人の地方の小さな不動産屋さんである。社長の野老真理子さんは学者ではないから、論文を発表しているわけではないが、早くから道徳と経済を両立させる試みに挑戦してきた。上場していないし、経団連や経済同友会の有力企業でもないけれど、本誌は2010年122号で紹介して以来、この会社に未来を救済する思想が胚胎していると注目してきた。この春、会社を26年間牽引してきた野老社長は代表を退き、長男の憲一さん(33歳) に引き継ぐ。思想はどのように承継され発展していくのか、新旧社長の話を聞いた。
(本誌・菅原)