地域で暮らす者の心情を45年間歌い続ける
山形県長井市のフォークグループ「影法師」


 1960年代後半から70年代初頭にかけて、政治や社会に対する批判を込めたフォークソングが流行した。当時は学生運動の余波もあり、岡林信康、高石ともやといったミュージシャンが歌う反戦や政治批判の曲は一世を風靡し、大勢の若者に影響を与えた。しかし、いつしかフォークソングのテーマは恋愛へと変わり、政治や社会に対するメッセージソングは時代遅れの格好悪い存在となっていった。
 こうした時代の産物ともいえるメッセージソングを、45年の長きにわたり歌い続けるフォークグループがある。その名は「影法師」。山形県長井市を拠点に活動する4名のアマチュアバンドだ。その原動力は何か?
なぜメッセージソングを歌い続けるのか?影法師の活動の軌跡を追った。

全世界に広まった『花は咲けども』
 原子の灰が降った街にも
 変わらぬように春は訪れ
 もぬけの殻の寂しい町で
 それでも草木は花を咲かせる
 花は咲けども花は咲けども
 春をよろこぶ人はなし
 毒を吐き出す土の上
 うらめし、くやしと花は散る
  これは、2012年からNHKで盛んに流された震災復興支援ソング『花は咲く』に対抗し、影法師が作った曲『花は咲けども』の1番の歌詞である。被災者にとって、花が咲けば良しというものではない。まして、原発事故で大量の放射性物質に汚染された故郷は、いくら花が自宅に咲いても戻ることはかなわないのが現実だ。他人事のように被災地を見ている歌詞に強烈な違和感を覚えた影法師メンバーは、対抗する曲を作ると自ら宣言して制作に取り掛かり、2013年7月に初披露した。(続きは本誌に掲載)

 

 

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