かがり火日記

 

『かがり火』日記 菅原歓一

 

某月某日 

静岡県袋井市港の木船農場で、世の中にこんなにすてきな労働もあるのかというほど感動的な草刈りが行われた。本誌でたびたび報告している木船光章さんは体調を崩して16年に及ぶ農的暮らしに終止符を打って東京・玉川の自宅に戻った。畑は木船さんの知人の日系ブラジル人のタナカさんが時々見回ってくれているが、雑草の生えた3.5haはとても管理しきれない。そのことを本誌支局長の鈴木正士さんに相談すると、本誌読者で“猫の手クラブ”の鈴木厚正さんや“めだかの学校”の榊原幸雄さん、水島加寿代さんに話をつないでくれた。

草刈りの当日、農場には呼び掛けに応じて、鈴木正士、鈴木厚正、佐藤貞敏、原田英治、山﨑彰彦、若林展行、松田敏幸、鈴木武史、榊原幸雄、松本芳廣、尾上美智子、服部守孝、伊藤英雄、水野俊哲さんの14名が自前の草刈り機を持って集合してくれた。水島加寿代さんは前日、ビールと弁当を差し入れてくれたし、当日の午後は山中幸子さんからの差し入れもあった。炎天下の畑で14台の草刈機がうなりを上げているのは壮観だった。

 この草刈りにはお金は一切関係していない。木船さんは自分が委託を受けた畑に雑草が伸び放題になっているのが気になってならない。その話を聞いた本誌が鈴木正士さんに相談すると、たちまち草刈り隊が編成されたのである。もし業者に依頼すると2030万では済まない額になるらしい。皆さんはもちろん無報酬。炎暑の中での3.5haの草刈りはハンパじゃないきつさであった。皆さん、汗だくだくなりながら大奮闘。ボランティアという言葉もかすむほどの価値ある労働だった。情ないけれど私だけは草刈り機がないので、ひたすら皆さんにお土産に差し上げるジャンボニンニクを掘っていました。

キャプ1 草刈りに駆け付けてくれたすてきなおじさんたち。

キャプ2 自分の背丈より大きな雑草を刈る尾上美智子さん

 

 

某月某日 東京上野のイタリアンバル「イル カドッチョ」で開催されたサラダコスモ主催の「ピスコを楽しむ会」に出席。ピスコというのは白ブドウから造った焼酎、つまりブランデーのこと。中田智洋社長が応援しているピスコは、ペルーの日系二世ミゲル・グスクマ(城間)さんが造っているもの。南米の農業や日本人移住者を応援している中田社長が、グスクマさんが苦労しているのを知って、男気を発揮して日本での販売、普及に力を入れた。本誌が中田社長に敬意を覚えるのはサラダコスモは、自社で“ちこちこ”というチコリ焼酎を造っているのである。商品がバッティングするなんてけちなことを中田社長は言わないのである。ピスコはコーラやジンジャーエールで割るとさわやかな飲み物になる。しかしながら輸入したピスコの多くが在庫となって残っているらしい。ピスコを本誌も注文しましたのでご興味が覚えた方はぜひ注文してあげてください。

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キャップ3 南米に移住した日本人を応援しているサラダコスモの中田智洋社長。

 

某月某日 山梨県清里の「萌木の村」にフィールドバレエを観劇に行く。今年は世界的なプリマ、ジョージアのニーナ・アナニアシヴィリさんが2日間だけ踊るというので楽しみだった。2月に行われた哲学塾で会った舩木社長は、夏にはイギリス人のガ-ディナーのポール・スミザーさん監修の庭が美しい花園になっているはずだというからそれも楽しみだった。さて当日、陽が落ちていよいよ始まるという時になってポツリと落ちてきた。何とか持ってほしいと願ったが、幕が開いて30分ほどたつと本格的な降りになった。バレエは中断して雨がやむのを待ったがいよいよ強くなり、やがて豪雨に変わった。やむなくバレエは中止。ニーナさんは雨に濡れながらも帰ろうとしない観客に向かってあいさつ、彼女も残念だったに違いない。雨で中止の場合は払い戻しをせず、振り替えのチケットを渡すシステムだったが、感心したのは観客の誰もが不平や愚痴を言ったりしない。舩木さんは27年かけてこのようなバレエファンを育ててきたのだろう。

しかし、清里から戻って5日後、レストラン「ロック」が全焼したというニュースが飛び込んできた。評判のカレーライスとソーセージの盛り合わせを食べてきたばかりなので信じられない話だった。ネットで検索すると、ロックは確かに燃えていた。従業員がすべて帰宅した後、ゴミ置き場あたりから出火したらしい。訪ねた方はご存じのように地下には地ビールの工場がある。どういうかたちで再建するのか現時点では分からないが、本誌としては舩木さんと縁のある人たちと一緒にどんな支援ができるか考えてみたい。 

キャップ4 雨の中をバレエの再開を待つ熱心なフィールドバレエのファン。

 

某月某日 秋田市上北手の「遊学舎」で開催された「第4回地域力フォーラムinあきた」に参加。1回目の基調講演は内山節編集長と馬路村の東谷望史組合長、2回目は海士町の山内道雄町長、3回目が小布施町の市村良三町長だったが、今年は予算の関係で私になってしまった。実行委員会は集客力のない人物がゲストなので人が集まるかどうか気をもんだらしい。しかし結果的には120人の参加があった。このフォーラムは毎回、若手6人にまちづくりの活動発表をしてもらう。秋田県は各種調査で、うれしくないテーマで1位になるので、県民性が暗いというイメージが先行するが、このフォーラムはそんな先入観を一蹴するものだった。おじさん世代はネガティブな発想をしがちだが、2030代の若者たちは柔軟で前向きだ。経済優先ではない時代に育った若者たちの人生観はすがすがしくて気持ちがいい。

 フォーラムの後は川反のビアカフェ「あくら」で交流会。最後は参加者全員が肩を組んで輪になり『明日があるさ』を歌う。最後のフレーズ、“明日がある 明日がある 明日があるさ”を“あきたがある あきたがある あきたがあるさ”に替えて歌う。秋田の若者たちのユーモアにジーンときた。

キャップ5 若者が主役、おじさんは裏方が定着した地域力フォーラム。

 

某月某日 『里山資本主義』で一躍有名になった広島県総領町の「人間幸学研究所」の和田芳弘さんから、カボチャが届く。カボチャの表面には、“頑張る人へかがり火を 志民甚六”とあった。和田さんが畑の中で、カボチャの表面にむカリカリと文字を刻んでいる姿を想像すると頬がゆるんでくる。やさしいお心遣いありがとうございました。カボチャもおいしくいただきました。

キャップ 6 和田芳弘さんから送られてきた愉快なカボチャ。

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